フィッシャー投影式|RS絶対配置の決定

化合物の構造を表現する場合、高校で習ったような平面的な構造式の記述では空間的な絶対配置まで区別することができません。したがって破線-くさび形表記法によって構造式を書くのでした。

フィッシャー投影式1

一方で、立体中心が炭素で4つの置換基が結合している場合に空間的な配置も区別して平面的に表記する方法があります。それが今回解説するフィッシャー投影式(Fischer projection)です。

 フィッシャー投影式

フィッシャー投影式と破線-くさび形表記法は以下のような対応関係にあります。

フィッシャー投影式2

立体中心の置換基を十字の先端に配置し、十字の交差しているところに不斉炭素原子があると見なします。左右にある置換基は手前に向いていて、上下にある置換基は奥に向いています。

同じ接待配置の化合物に対して複数のフィッシャー投影式が考えられるので注意が必要です。さらに、構造式の場合は回転させたりして描き方を変えても問題ありあませんが、フィッシャー投影式の場合はそうもいきません。回転させたり置換基の配置を入れ替えることによって絶対配置がもう一方の配置に反転してしまうことがあるのです。

 フィッシャー投影式の回転

フィッシャー投影式を不斉炭素原子を中心に±90°回転させると絶対配置は反転します。その代わり±180°回転させると絶対配置は変化しません。

フィッシャー投影式3

(R)と(S)の意味がわからない人やなんだっけという人はこちらを参考にしてください。

(参考:R,S 絶対配置|二重結合・三重結合の問題も解決)

 フィッシャー投影式における置換基の入れ替え

さらに、立体中心に結合する4つの置換基のうち、任意の2つを選んで入れ替える作業を奇数回行うと絶対配置は反転し、偶数回行うと絶対配置は変わりません。

フィッシャー投影式からのR,S絶対配置の決定

フィッシャー投影式が与えれれた時に、それが(R)であるか(S)であるかを簡単に見分けることができます。

不斉炭素原子に結合している4つの置換基を優先順位の高いものから順にa,b,c,dとおきます。もしdが上に位置していなければ、置換基を2回入れ替えることによってdが上にくるようにします。最後にa,b,cのみに注目して、この順に時計回り(右回転)であれば(R)、反時計回りであれば(S)になります。

フィッシャー投影式5