立体中心を1つしかもたない化合物には必ず鏡像異性体がありますが、立体中心が2つ以上ある場合は像と鏡像がぴったり重なってしまうことがあります。これをメソ化合物といいます。
メソ化合物
例えば、2,3-ジクロロブタンの考えられる立体異性体を全て書き出してみます。
![2,3-ジクロロブタン](https://i0.wp.com/rikei-jouhou.com/wp-content/uploads/2018/03/23-ジクロロブタン.png?resize=182%2C135&ssl=1)
上の構造式を見ると、立体中心を2つもつことが分かります。一般に、立体中心をn個もつときの立体異性体は最大で2n個存在するので、2,3-ジクロロブタンは最大で22=4個存在すると考えられます。それらを下の図に書き出しました。
![2,3-ジクロロブタンのフィッシャー投影式](https://i0.wp.com/rikei-jouhou.com/wp-content/uploads/2018/03/23-ジクロロブタンのフィッシャー投影式.png?resize=518%2C182&ssl=1)
上に書いた4つのフィッシャー投影式は果たして本当に立体異性体なのでしょうか。鏡面を使ってこれらの関係を整理します。
![](https://i0.wp.com/rikei-jouhou.com/wp-content/uploads/2018/03/23-ジクロロブタンの立体異性体間の関係.png?resize=578%2C517&ssl=1)
上の図のように、鏡面を使って4つの立体異性体(?)を整理しました。破線-くさび形配置を見ると下の2つはが同一化合物であることがわかります。それ以外は別物ですね。どのように回転させても互いに重なり合うことはありません。
したがって、2,3-ジクロロブタンの立体異性体は3つになります。
メソ化合物はどのようにして見分けるのでしょうか。これは鏡像異性体の記事でもお話ししましたが、分子内に鏡面が存在すればメソ化合物であることがわかります。
例えば(R,S)-ジクロロブタンの2つの立体中心の間に鏡面を作ると、それに関して分子が面対称(像と鏡像の関係)であることがわかります。したがって、(2R,3S)-ジクロロブタンと(2S,3R)-ジクロロブタンはともにメソ化合物であるといえるのです。
![2,3-ジクロロブタンの分子内鏡面](https://i0.wp.com/rikei-jouhou.com/wp-content/uploads/2018/03/23-ジクロロブタンの分子内鏡面.png?resize=318%2C440&ssl=1)