ブロッティング解析法|サザン・ノーザン・ウェスタンハイブリダイゼーションを解説

ブロッティング解析とは、電気泳動により分離して得られたDNAやRNA、タンパク質をフィルターに写し取って解析する技術のことを指します。今回はブロッティング技術、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、ウェスタンブロッティング解析法を解説します。

ブロッティング技術

キャピラリー法

キャピラリー法とは、アガロースゲル電気泳動によって分離して得られた試料、例えば高分子量のDNAなどをニトロセルロースフィルターに写し取る手法です。

バッファー(緩衝液)で浸らせたろ紙の上に電気泳動後のアガロースゲルを置き、その上にニトロセルロースフィルターを載せます。バッファーがしみてくるのでペーパータオルまたはキムワイプを十分敷いておいて最後におもしを載せます。これによって試料をフィルターに写し取ることができました。

キャピラリー法

エレクトロブロッティング法

一方、低分子量のDNA、RNA、タンパク質の電気泳動にはポリアクリルアミドゲルを使用します。短時間でブロッティングを終わらせたい場合はエレクトロブロッティング法を利用します。下図のようにバッファーにゲルとフイルターを重ねて浸し、電流を流すことによって試料がフィルターに移行します。

エレクトロブロッティング法

サザンハイブリダイゼーション解析

サザンブロット法は、DNA断片試料をアガロースゲル電気泳動で分離したあと、分離した状態でニトロセルロースフィルターに移行させる技術です。特定の塩基配列を持つDNAの存在の有無を検出することができます。

まず電気泳動後のアガロースゲルをアルカリ処理して中和したら、ブロッティングしてフィルターに分離したDNAを写し取ります。次にプレハイブリダイゼーションといって、フィルター上のDNAが吸着していない領域に無関係なDNAをまいて吸着させます。これによってプローブがフィルター自体に吸着しないようにします。

その後で32P標識プローブによるハイブリダイゼーションを行って相同性のあるDNAを標識します(参考:ハイブリダイゼーション解析)。最後にx線フィルム上でオートラジオグラフィーしてハイブリダイズしたスポットを確認します。

サザンハイブリダイゼーション解析

ノーザンハイブリダイゼーション解析

ノーザンブロットはサザンブロットのRNA版で、特定のmRNAの有無を検出します。電気泳動にはホルムアルデヒドを含む変性ゲルを試料します。泳動後はブロッティング、プレハイブリ、ハイブリ、オートラジオグラフィーにかけて検出します。

ウェスタンブロッティング解析

ウェスタンブロッティングは特定のタンパク質を検出する技術です。検出方法はDNAおよびRNAとは異なって、タンパク質に結合する1次抗体および2次抗体を利用します。

抗原-抗体反応

目的とするタンパク質に直接結合する抗体は1次抗体と呼ばれ、人為的には目的タンパクをウサギやマウスに投与することで調製します。さらに1次抗体に結合する抗体を2次抗体と呼びます。

タンパク質を標識するためには、あらかじめこの2次抗体を125I放射性ヨウ素などで標識しておけば良いです。2次抗体は市販されているため簡便で、検出感度のアップを期待することができます。

抗原-抗体反応

ウェスタンブロッティング解析の概要

SDS-PAGEのよりタンパク質を泳動した後、ブロッティングによりフィルターに写し取ります。次にブロッキングといって、プレハイブリダイゼーションのように無関係なタンパク質をまいてフィルター自体を保護します。これによって抗体をまいても目的タンパク質にのみ結合してフィルター自体に吸着することはありません。

あとは1次抗体をまいて洗浄し、2次抗体をまいて洗浄し、最後にオートラジオグラフィーにかけたらおしまいです。感光したバンドによって目的タンパク質の発現の有無や、大まかに大きさを確認したり定量することができます。

ウェスタンブロッティング解析