集合と元(要素)
数学において着目したい「もの」の集まりをひとつの対象とみなします。この対象のことを集合といいます。
集合を構成する個々の「もの」のことを元(げん)または要素と呼びます。
例えば\(A\)という集合に対して、\(x\)が集合\(A\)の元であるとしましょう。このとき、\(x\)は\(A\)に属するといって、以下のように表します。
また、元\(x\)が集合\(A\)に含まれないときは以下のように表します。
集合の表し方
次に、集合の表し方について定義します。
元\(x_1, x_2, x_3, \cdots, x_n\)からちょうど成る集合\(A\)は次のようにかきます。
他にも、もし無限個の元\(x_1, x_2, x_3, \cdots\)からちょうど成る集合\(A\)であれば次のようにかきます。
また、1つの元\(x\)のみを含む\(\{x\}\)も集合として扱います。このように1つの元のみからなる集合を一元集合といいます。
さらに、1つの元も属さない集合を空集合と呼び、\(\emptyset\)とかきます。
条件を添えた集合の表し方
ある条件\(P\)を満たす変数\(x\)の集合を表したいときには次のようにかきます。
さらに、集合\(X\)の元のうち条件\(P\)をみたすものの集合は以下のようにかきます。
例えば\(x^2 – x – 6 \le 0\)を満たす実数\(x\)の集合は、
になります。ここで、\(\mathbb{R}\)は実数全部の集合としました。
包含関係と部分集合
集合\(A\)の元すべてが集合\(B\)に属するとき、\(A\)は\(B\)の部分集合であるといいます。他にも、\(A\)は\(B\)に含まれるともいい、次のように表します。
例えば、\(X = \{3, 4 \}\)は\(Y = \{1, 2, 3, 4, 5\}\)の部分集合で\(X \subset Y\)です。
さらに、\(A \subset B\)かつ\(B \subset A\)ならば\(A=B\)で、\(A=B\)ならば\(A \subset B\)かつ\(B \subset A\)と書くことにします。
特に、空集合\(\emptyset\)は全ての集合に含まれます。
合併集合と共通部分
集合\(A\)と\(B\)に対して、\(A\),\(B\)の少なくとも一方に属する元の全体を考えます。これを\(A\)と\(B\)の合併集合といい、\(A \cup B\)とかきます。
例えば、\(X = \{1, 2, 3, 4 \}\)で\(Y = \{3, 4, 5, 6\}\)のとき、\(X \cup Y = \{1, 2, 3, 4, 5, 6\}\)です。
次に、\(A\),\(B\)の両方に属する元の全体を\(A\)と\(B\)の共通部分といい、\(A \cap B\)とかきます。
例えば、\(X = \{1, 2, 3, 4 \}\)で\(Y = \{3, 4, 5, 6\}\)のとき、\(X \cap Y = \{3, 4\}\)です。
最後に、\(A\)の元のなかで\(B\)に属さないものの全体を\(A \setminus B\)とかきます。
例えば、\(X = \{1, 2, 3, 4 \}\)で\(Y = \{3, 4, 5, 6\}\)のとき、\(X \setminus Y = \{1, 2\}\)です。
合併集合と共通部分の一般化
元がパラメーターとなるような集合\(I\)を考えます。このとき\(I \neq \emptyset\)とします。そして、\(I\)に対応する集合\(\{A_i \: ; i \in I\}\)があるとしましょう。
例えば、集合\(I = \{1, 2, 3\}\)をパラメーターとする集合\(\{A_i \: ; i \in I\}\)は、
です。
一般に、少なくともひとつの\(A_i\)に属する元の全体を\(\{A_i \: ; i \in I\}\)の合併集合といい、次のように表します。
なお、\(I = \emptyset\)のときは\(\bigcup_{i \in I}{A_i} = \emptyset\)と定めます。
また、元がすべて集合である集合\(B\)があるとします。\(B\)の元\(x\)すべての合併集合をBの和集合といい、次のように表します。
次に、先と同様に元がパラメーターとなるような集合\(I (\neq \emptyset)\)に対して、集合\(\{A_i \: ; i \in I\}\)があるとします。
すベての\(A_i\)に属する元の全体を\(\{A_i \: ; i \in I\}\)の共通部分といい、次のように表します。
補集合
あるひとつの集合\(X\)にのみ着目して、\(X\)の部分集合だけを考えることにしましょう。
\(X\)の部分集合\(A\)に対して、
を\(A\)の(\(X\)における)補集合といいます。
例えば、\(X = \{1, 2, 3, 4, 5 \}\)で\(A = \{3, 4\}\)のとき、\(A\)の\(X\)における補集合\(X \setminus A\)は\(\{1, 2, 5\}\)です。