【1変数】リーマン積分可能な関数であるための定理

今回は積分可能であるための定理を2つ紹介します。それにあたって、前回までの2つの記事が前提になっているので読んでおくことをお勧めします。

【1変数】リーマン積分の定義と判定条件・リーマン和をわかりやすく解説

2019年9月22日

【1変数】リーマン積分可能な関数

2019年9月29日

連続関数は積分可能である

定理1
\(f : [a,b] \to \mathbb{R}\)が連続のとき、\(f\)は積分可能である。

証明

まず、 \(f : [a,b] \to \mathbb{R}\)が連続であることから、\(f\)は\([a,b]\)上で一様連続です。一様連続であるということは、すべての\(\varepsilon \gt 0\)に対して\(\delta \gt 0\)が存在して、

$$\mid x – y \mid \lt \delta \to \mid f(x) – f(y) \mid \lt \varepsilon \tag{1}$$

を満たしています。\(\max_{\; i} \delta_i \le \delta\)を満たす分割\(D\)をとると、\(x,y \in [x_{i-1}, x_{i}]\)に対して、

$$F_i \: – f_i = \sup_{s,y \in [x_{i-1},x_i]}\mid f(x) \: – f(y) \; \mid \tag{2}$$

が成り立ちます(参考:【1変数】リーマン積分可能な関数の(2)式参照)。

ですから、(1)式と(2)式を組み合わせれば、\(F_i \: – f_i \le \varepsilon\)が得られます。これにより、

$$\begin{align} S(D) – s(D) &= \sum_{i=1}^{n}(F_i -f_i)\delta_i \\ &\le \sum_{i=1}^{n}\varepsilon \delta_i \\ &= \varepsilon (b-a) \end{align}$$

を得ます。これは上ダルブー和とと下ダルブー和の差を任意に小さく出来ることを意味しているので、\(f(x)\)は\([a,b]\)上で積分可能です。

(証明終)

単調増加(単調減少)な関数は積分可能である

定理2
\(f : [a,b] \to \mathbb{R}\)が単調増加あるいは単調減少であれば、\(f\)は積分可能である。

証明

\(f\)が単調増加の場合を考えます。したがって、分割\(D\)をとったときの各区間\([x_{i-1},x_i]\)において、\(f\)は \(x=x_{i-1}\)で最小値\(f(x_{i-1})\)、\(x=x_i\)で最大値\(f(x_i)\)をとります。

すなわち、

$$f_i = f(x_{i-1}), \quad F_i = f(x_i)$$

となります。そして1つ右隣の部分区間\([x_i, x_{i+1}]\)を考えれば\(f_{i+1} = f(x_i)\)ですから、上式と併せて\(f_{i+1} = F_i \; (i = 1, \cdots , n)\)が成り立ちます。さらに、分割\(D\)を部分区間の長さ\(\delta\)が全て等しく十分小さくなるようにとれば、

$$\begin{align} &\quad \sum_{i=1}^{n}(F_i – f_i)\delta_i \\ &= (F_1 – f_1)\delta + (F_2 – f_2)\delta + (F_3 – f_3)\delta + \cdots + (F_{n-1} – f_{n-1})\delta + (F_n – f_n)\delta \\ &= (F_1 – f_1)\delta + (F_2 – F_1)\delta + (F_3 – F_2)\delta + \cdots + (F_{n-1} – F_{n-2})\delta + (F_n – F_{n-1})\delta \\ &= (F_n – f_1)\delta \\ &= (f(x_n) \: – f(x_0))\delta \end{align}$$

となりますから、上ダルブー和とと下ダルブー和の差を任意に小さくすることができます。

したがって、\(f\)は積分可能です。

(証明終)