【1変数】一様連続な関数と連続な関数を比較

関数の連続性のほかに、一様連続性という概念があります。

定義(一様連続)
\(A\)は実数体\(\mathbb{R}\)の部分集合で、関数\(f \: : \: A \to \mathbb{R}\)が、

$$\forall \varepsilon \gt 0  \exists \delta \gt 0  \forall x_0 \in A  \forall x \in A \: : \: \mid x \: – \: x_0 \mid \lt \delta \quad \mid f(x) \: – \: f(x_0) \mid \lt \varepsilon$$

を満たしているとき、\(f\)は\(A\)上で一様連続である。

これを関数の連続性と比較してみまよう。関数\(f(x)\)が\(x_0\)で連続であるとは、

$$\forall \varepsilon > 0  \exists \delta > 0  \forall x \in A : \: \mid x \; – \; x_0 \mid \, < \delta   \mid f(x) \; – \; f(x_0) \mid \, < \varepsilon$$

が成り立つときにいいます。また、すべての\(x_0 \in A\)で連続であるとき、関数\(f(x)\)は連続であるといいます。

連続の定義式では\(x_0\)が固定されていて、各\(x_0\)において関数が連続であるかを考えます。

一方で、一様連続の定義式では\(x_0\)が固定されておらず、\(\mid x \; – \; x_0 \mid \, < \delta\)を満たす\(x\)と\(x_0\)のすべての組合せに対して\(\mid f(x) \; – \, f(x_0) \mid \, < \varepsilon\)を満たす\(\delta\)が存在しなければなりません。

連続な関数でも、\(A\)がある条件を満たすだけで一様連続になります。

定理(ハイネ(1872))
集合\(A\)が閉区間\([a,b]\)で、関数\(f \: : \: A \to \mathbb{R}\)が\(A\)上で連続のとき、\(f\)は\(A\)上で一様連続である。

証明

背理法によります。\(f\)が\(A\)上で一様連続でないとします。したがって、\(\varepsilon = 1/n\)とすれば、

$$\exists \varepsilon \gt 0  \forall n \gt 0  \exists x_{0n} \in A  \exists x_n \in A \: : \: \mid x_n \; – \, x_0 \mid \lt 1/n \quad \mid f(x_n) \; – \, f(x_{0n}) \mid \ge \varepsilon$$

を満たす\(x_n\)が存在します。こうして得られる数列\(\{x_n\}\)は有界であるため(\(A\)が閉区間より)、収束する部分列が取り出せます。これを再度\(\{x_n\}\)とおきます。

\(n \to \infty \)における\(x_n\)の極限を\(x\)とすれば、\(\mid s_n \; – \, x_0 \mid \lt 1/n\)より\(\lim_{n \to \infty} x_{0n} = x\)となります。

\(f\)は連続ですから、\(\lim_{n \to \infty}f(x_n)=f(x)\)と\(\lim_{n \to \infty}f(x_{0n})=f(x)\)になりますが、これは仮定より得られた\(\mid f(x_n) \; – \, f(x_{0n}) \mid \ge \varepsilon\)に矛盾します。

したがって、\(f\)は\(A\)上で一様連続です。

(証明終)

別の証明

任意の\(\varepsilon \gt 0\)をとります。さらに、各\(x \in A = [a,b]\)に対して、\(x\)を中心とする開区間\(I\)を考えます。

すべての\(y,z \in I\)に対して\(\mid f(y) \: – \: f(z) \mid \lt \varepsilon\)を満たすような\(I\)の中でも、区間の長さが最大となるときの長さを\(\delta (x)\)とします。

量化子を使って言い換えれば、\(\delta (x)\)は、

$$\delta (x) = \{\delta \gt 0 \mid \forall y,z \in [x – \delta /2, x + \delta/2] \mid f(y) – f(z) \mid \lt \varepsilon\}$$

を満たします。\(\mid f(y) – f(z) \mid \lt \varepsilon\)を満たすためには、\(f\)は\(A\)上で連続であることから\(x,y,z \in A\)でなけらばなりません。

また、\(f\)が連続であることから、各\(x \in A\)に対して\(\delta (x) \gt 0\)が定まります。

もし、ある\(x \in A\)が存在して、\(\delta (x) = \infty\)であれば、\(\mid f(y) – f(z) \mid \lt \varepsilon\)がすべての\(y\)と\(z\)の組合せ(ただし、\(y,z \in A\))対して成り立つことになり、一様連続の定義を満たします。

一方で、すべての\(x \in A\)に対して\(\delta (x) \lt \infty\)である場合は、区間\(I = [x – \delta /2, x + \delta/2]\)の中心\(x\)を\(x \pm \eta\)に少しだけずらした区間\(I^\prime \)を考えます(\(\eta \gt 0\))。

まず、中心が\(x + \eta\)のときは\(I^\prime = [x – \delta /2, x + \delta/2 + 2\eta]\)、中心が\(x – \eta\)のときは\(I^\prime = [x – \delta /2 – 2\eta, x + \delta/2]\)の場合を考えましょう。この場合、いずれも区間\(I^\prime\)の長さが\(\delta (x) + 2\eta\)になります。

これより区間\(I^\prime\)が長くなると、区間\(I\)が\([x – \delta /2, x + \delta/2]\)よりも広がる余地が出来てしまいます。よって、区間\(I^\prime\)は長さが\(\delta (x) + 2\eta\)を超えることはありません。

続いて区間\(I^\prime\)について、中心が\(x + \eta\)のときは\(I^\prime = [x – \delta /2 + 2\eta , x + \delta/2 ]\)、中心が\(x – \eta\)のときは\(I^\prime = [x – \delta /2, x + \delta/2 – 2\eta]\)の場合を考えましょう。この場合、いずれも区間\(I^\prime\)の長さが\(\delta (x) – 2\eta\)になります。

これより区間\(I^\prime\)が短くなると、区間\(I\)が\([x – \delta /2, x + \delta/2]\)よりも狭い範囲でしか\(\mid f(y) – f(z) \mid \lt \varepsilon\)が成り立たてないことになってしまいます。よって、区間\(I^\prime\)は長さが\(\delta (x) – 2\eta\)より下回ることはありません。

したがって、十分小さい\(\eta \gt 0\)に対して、\(\mid \delta (x \pm \eta ) – \delta (x) \mid \lt 2\eta \)が成り立ちますから、\(\delta (x)\)は連続な関数であることが分かります。

そこで、ワイエルシュトラスの最大値・最小値の定理より、すべての\(x \in A\)に対して、\(\delta (x_0) \le \delta (x)\)を満たす\(x_0 \in A\)が存在します。

この区間\(I\)の長さの最小値\(\delta (x_0)\)を一様連続の定義における\(\delta\)として使えば、\(\mid x \; – \; x_0 \mid \, < \delta \to \mid f(x) \; – \; f(x_0) \mid \, < \varepsilon\)を満たすことが出来ます。

したがって、\(f\)は\(A\)上で一様連続となります。

(別の証明終)